猫後天性免疫不全症候群
猫後天性免疫不全症候群(ねここうてんせいめんえきふぜんしょうこうぐん)とは、FIV(feline immunodeficiency virus = ネコ免疫不全ウイルス)により、ネコに引き起こされる諸症状のこと。
俗にネコエイズとも言う。
FIVに遺伝的に近縁なウイルス(FIV関連ウイルス(FIV-related virus))がライオン、ピューマなどでも分離されているが、これらの野生動物がFIV関連ウイルスで発症したという明確な報告はない。
猫免疫不全ウイルス感染症の病態の一つである。
概説
感染経路・潜伏・発症
FIVウイルスの主な感染経路は、交尾・ケンカによる体液の接触感染であり、出産時の母子感染も確認されている。
HIVと同じレトロウイルス科レンチウイルス属に分類されるが、ネコおよびネコ属に特異的なウイルスであり、犬や人に感染することは無い。
感染するだけですぐに発病するわけではない。
潜伏期はさまざまであるが、飢餓、栄養失調、寒冷などの身体的・精神的ストレス、妊娠、手術などがきっかけとなって発症することが多い。
ウイルスの潜伏場は白血球のT細胞であり、採血できれば、簡易検査キットにより簡単に動物病院等で検査が可能である。
この検査キットではウイルスに対する抗体を検出する。
抗体が陽転するまで約1ヶ月かかるので、陽転するまでの間はたとえ感染していても陰性と判定される。
感染の可能性が強く示唆される場合は、1ヶ月後以降(できれば2ヶ月後以降)に再検査することが必要である。
発症後の症状はさまざまで、多く見られる症状は歯肉炎・口内炎であり、これらの症状によりFIVの感染が疑われ、発見される場合が多い。
進行すると、ダニや真菌といった日和見感染症による皮膚炎や、食欲減退、脱水、削痩といった症状を経て死にいたることがある。
しかし、これらの症状は適切な対症療法によって進行を遅らせることができる。
疫学的調査など
疫学的には、国内のFIV抗体陽性率は約12%とされているが、野良猫におけるFIVの保有率はこれよりも高いと考えられる。
2006年10月にアメリカのワシントンで開催された国際ネコレトロウイルス研究シンポジウムにおいて、フロリダ大学のグループは興味深い疫学調査結果を発表している。
それは、アメリカの獣医病院に来院し検査を受けた67,963匹のネコを調べたところ、「FIV陽性ネコの生存率(survival rate)は、FIVに陽性と診断されてから1年でおよそ約20%が死亡する(発症していないネコの安楽殺を含む)ものの、それ以降はFIV陽性ネコ群と陰性ネコ群では生存率に大きな差は見られない。」というものである。
ドイツやオーストラリアでなされた疫学調査からも、FIV陽性ネコと陰性ネコの平均寿命に有意差は見られていない。
このことからも明らかなように、FIV陽性ネコのすべてが発症するわけではない。
FIV感染により免疫が抑制されるが、HIVほどではない。
またたとえ免疫が抑制されても、FIVの感染が直接病気を引き起こすわけではなく、FIV感染による免疫抑制に伴う他の病原体の感染により発症する。
SPFネコにおける感染実験においてもFIV単独で発症した例はほとんどない。
FIVの受容体(ウイルス感染に必要な分子)は、CD134という分子であり、これは抗原刺激に伴って発現されるCD4陽性T細胞の副刺激分子の一つである。
従って様々な病原体、もしくは非病原性のウイルスや細菌などの抗原刺激によりFIVが増殖可能なCD4陽性T細胞が増加し、それに伴い体内のFIVの量も増えるものと考えられ、抗原刺激に乏しい(クリーンな)環境においてはネコの体内でのウイルス量は低いままであると考えられる。
家庭での対策
家庭では、子猫のうちにウイルス検査を行い(潜伏期があるため、最後に他のネコと接触してから数か月おいて検査すると確実)、陰性であれば不妊・去勢手術を行い他のネコとの交尾・ケンカの機会を減らすことでほぼ確実に予防できる。
関連項目
猫免疫不全ウイルス感染症
猫後天性免疫不全症候群(猫エイズ)
猫後天性免疫不全症候群(ねここうてんせいめんえきふぜんしょうこうぐん)とは、FIV(feline immunodeficiency virus = ネコ免疫不全ウイルス)により、ネコに引き起こされる諸症状のこと。
俗にネコエイズとも言う。
FIVに遺伝的に近縁なウイルス(FIV関連ウイルス(FIV-related virus))がライオン、ピューマなどでも分離されているが、これらの野生動物がFIV関連ウイルスで発症したという明確な報告はない。
猫免疫不全ウイルス感染症の病態の一つである。
概説
感染経路・潜伏・発症
FIVウイルスの主な感染経路は、交尾・ケンカによる体液の接触感染であり、出産時の母子感染も確認されている。
HIVと同じレトロウイルス科レンチウイルス属に分類されるが、ネコおよびネコ属に特異的なウイルスであり、犬や人に感染することは無い。
感染するだけですぐに発病するわけではない。
潜伏期はさまざまであるが、飢餓、栄養失調、寒冷などの身体的・精神的ストレス、妊娠、手術などがきっかけとなって発症することが多い。
ウイルスの潜伏場は白血球のT細胞であり、採血できれば、簡易検査キットにより簡単に動物病院等で検査が可能である。
この検査キットではウイルスに対する抗体を検出する。
抗体が陽転するまで約1ヶ月かかるので、陽転するまでの間はたとえ感染していても陰性と判定される。
感染の可能性が強く示唆される場合は、1ヶ月後以降(できれば2ヶ月後以降)に再検査することが必要である。
発症後の症状はさまざまで、多く見られる症状は歯肉炎・口内炎であり、これらの症状によりFIVの感染が疑われ、発見される場合が多い。
進行すると、ダニや真菌といった日和見感染症による皮膚炎や、食欲減退、脱水、削痩といった症状を経て死にいたることがある。
しかし、これらの症状は適切な対症療法によって進行を遅らせることができる。
疫学的調査など
疫学的には、国内のFIV抗体陽性率は約12%とされているが、野良猫におけるFIVの保有率はこれよりも高いと考えられる。
2006年10月にアメリカのワシントンで開催された国際ネコレトロウイルス研究シンポジウムにおいて、フロリダ大学のグループは興味深い疫学調査結果を発表している。
それは、アメリカの獣医病院に来院し検査を受けた67,963匹のネコを調べたところ、「FIV陽性ネコの生存率(survival rate)は、FIVに陽性と診断されてから1年でおよそ約20%が死亡する(発症していないネコの安楽殺を含む)ものの、それ以降はFIV陽性ネコ群と陰性ネコ群では生存率に大きな差は見られない。」というものである。
ドイツやオーストラリアでなされた疫学調査からも、FIV陽性ネコと陰性ネコの平均寿命に有意差は見られていない。
このことからも明らかなように、FIV陽性ネコのすべてが発症するわけではない。
FIV感染により免疫が抑制されるが、HIVほどではない。
またたとえ免疫が抑制されても、FIVの感染が直接病気を引き起こすわけではなく、FIV感染による免疫抑制に伴う他の病原体の感染により発症する。
SPFネコにおける感染実験においてもFIV単独で発症した例はほとんどない。
FIVの受容体(ウイルス感染に必要な分子)は、CD134という分子であり、これは抗原刺激に伴って発現されるCD4陽性T細胞の副刺激分子の一つである。
従って様々な病原体、もしくは非病原性のウイルスや細菌などの抗原刺激によりFIVが増殖可能なCD4陽性T細胞が増加し、それに伴い体内のFIVの量も増えるものと考えられ、抗原刺激に乏しい(クリーンな)環境においてはネコの体内でのウイルス量は低いままであると考えられる。
家庭での対策
家庭では、子猫のうちにウイルス検査を行い(潜伏期があるため、最後に他のネコと接触してから数か月おいて検査すると確実)、陰性であれば不妊・去勢手術を行い他のネコとの交尾・ケンカの機会を減らすことでほぼ確実に予防できる。
関連項目
猫免疫不全ウイルス感染症
猫免疫不全ウイルス感染症
猫免疫不全ウイルス感染症(ねこめんえきふぜんういるすかんせんしょう、feline immunodeficiency virus infection)とは猫免疫不全ウイルス(FIV)感染を原因とする猫の感染症。
原因
猫免疫不全ウイルスはレトロウイルス科レンチウイルス属に属する。
レンチウイルス属にはヒト免疫不全ウイルス(HIV)も含まれており、ウイルスの構造は類似しているが、遺伝子レベルでは相違があり、猫免疫不全ウイルスはヒトには感染しない。
疫学
猫免疫不全ウイルスは血液、唾液、乳汁、精液などに含まれ、主に交尾や口傷により伝播される。
子宮内感染、経乳汁感染などの垂直感染の報告もあるが、その頻度は水平感染と比べると低い。
症状
慢性口内炎、慢性呼吸器疾患、貧血、腸炎などの症状を呈し、数年にわたって徐々に衰弱し死亡する。
病態の進行した状況を、猫後天性免疫不全症候群と呼ぶ。
診断
蛍光抗体法、ELISA、ウェスタンブロッティング、PCRによる診断を行う。
治療
特異的な治療法はなく、対症療法を行う。
予防
有効なワクチンは開発されていないため、猫免疫不全ウイルスとの接触を断つことが唯一の予防策である。
パルボウイルス
パルボウイルス
パルボウイルスはパルボウイルス科 Parvoviridae に属する直鎖一本鎖DNAウイルスである。
直径20nmの球状粒子で、カプシドは正二十面体構造を形成し、エンベロープは持たない。
パルボウイルスは自然界に存在するウイルスの中でも最も小さい部類に入り、そのためラテン語で「小さい」を意味する parvus から命名された。
パルボウイルスは特定の種の動物と関連性があり、多くの場合は自身と関連性のある種の動物にしか感染しない。
例えば、犬パルボウイルスはイヌ、オオカミ、キツネ等には感染するが、ネコや人間には感染しない。
分類
パルボウイルス亜科 Parvovirinae
パルボウイルス属 Parvovirus
犬パルボウイルス Canine Parvovirus、猫パルボウイルス Feline Parvovirus 等
エリスロウイルス属 Erythrovirus
パルボウイルスB19 Parvovirus B19 等
ディペンドウイルス属 Dependovirus
アデノ随伴ウイルス Adeno-associated virus 等
デンソ(濃核病)ウイルス亜科 Densovirinae
デンソウイルス属 Densovirus
イテラウイルス属 Iteravirus
ブレビデンソウイルス属 Aedes aegypti densovirus(AaDNV)
犬パルボウイルス
イヌ科の動物同士の接触により感染する。
1976年以前に感染の報告はなかったが、その後数年間で全世界に爆発的に広がった。
当初原因不明の病気で子犬がばたばたと倒れて死亡する症例が相次いだため「ポックリ病」「コロリ病」として恐れられた。
その後の調査で犬パルボウイルスが原因であることが判明したが、ウイルスの種類や構造自体はそれ以前から知られていた猫パルボウイルスと同一で宿主が違うだけである。
そのため猫パルボウイルスの突然変異であると考えられているが証明はされていない。
感染
経口感染と経胎盤感染が知られている。
ウイルスを排泄しているイヌとの接触など、糞便や吐物及びそれらの飛沫、粉塵を経口・経鼻摂取することで感染が成立する。
不特定のイヌが多数集まる公園やペットショップ、動物病院などに感染力を保持したままウイルスが存在した場合、靴や服、被毛に付着し、人間や他の動物によって運ばれることもある。
そのため屋内飼育で他のイヌとの接触がないからといって感染する可能性を否定することはできない。
妊娠中の母犬が感染した場合、胎盤を経由して胎児も感染し死・流産を引き起こす。
このとき、母犬の臨床徴候が軽微なため、イヌパルボウイルス感染によるものと気づかれないことがある。
症状
通常、2~12日間の潜伏期間の後に発症する。
ウイルスは最初、喉頭リンパ節などで複製され、ウイルス血症を引き起こす。4~6週齢以降では、このとき食欲不振、元気消沈、嘔吐、などの症状が現れ始める。
血流によって全身に行き渡ったウイルスは、新生仔期には心筋細胞、それ以降では腸陰窩細胞や骨髄細胞など、短い周期で分裂を繰り返す組織細胞に対する親和性が高く、それらの細胞で爆発的に複製され、細胞を破壊する。
心筋細胞が破壊されれば心筋炎を起こし心不全により突然死する。
このためごく若齢の場合、心筋型の経過をとって突然死し、イヌパルボウイルス感染症と気づかれないことがある。
腸炎型では、腸陰窩細胞が破壊されることで正常な腸粘膜形成ができず、下痢、特徴的な水様性粘血便(トマトジュース様)を呈する。
加えて骨髄細胞の破壊が進行することによる白血球数の激減によって、腸内細菌の日和見的な感染を防御することができなくなり、敗血症に至る。
同時に、腸粘膜下織の毛細血管の破綻による出血などの要因が重なってDICが惹起され、多臓器不全により斃死する。
いったん発症すると直接治療する方法はないが、体力や抵抗力に余裕があれば、適切な対症療法を行うことで、発症後5〜7日程度で免疫が獲得されるため自然回復する。
ただし生後2~3か月程度までの若齢犬では、ストレスの多い環境、消化管内寄生虫、犬コロナウイルスの同時感染などの要因が重なることによる免疫力低下が二次感染を引き起こし、死に至ることが多い。
診断と治療
元気消失や嘔吐、下痢、特徴的な水様性血便などの臨床徴候と併せて、糞尿中からウイルス抗原を検出するELISAキットを用いる方法が一般的であるほか、血液検査で白血球数の減少を確認することなどによって診断される。
イヌパルボウイルス感染症と診断されたら、すぐに他の犬から隔離し、適切な対症療法を開始する。
イヌパルボウイルス感染症の治療には、現在のところ特効薬がなく、支持療法、対症療法のみである。
犬自身の免疫力を保つ手助けをする効果を期待して、猫インターフェロン製剤の投与が行われることが多い。
また、嘔吐や下痢により失われた体内の水分や電解質を補給する点滴治療や、腸内細菌による二次感染を抑制するための抗生物質投与がおこなわれる。
体内に侵入したウイルスを完全に排除することはできないため、これらの治療を行っても生存は保証できない。発症した犬が生き残るかどうかは早期の診断と犬の体力・免疫力にかかっている。
予防
非常に感染力が強いウイルスで、環境耐性も強い。
酸やアルカリ、各種溶剤および摂氏50度までの熱に耐性があり、環境中で6ヶ月~2年感染性を維持すると言われている。
高濃度次亜塩素酸ナトリウム、ホルムアルデヒドなどを使わなければ不活化出来ない。
家庭で入手可能なものとしては、二酸化塩素消毒剤、塩素系漂白剤(ブリーチ)の長時間感作、などが利用できる。
現在、最も効果があるとされているのは動物用医薬品「アンテックビルコンS」だと言われている。
イヌパルボウイルスに対する十分な免疫を持った母犬から生まれた仔犬であれば、おおよそ生後6週齢までは、母犬から得た移行抗体によって感染防御能を保持しているが、適切な移行抗体の獲得ができなかった仔犬の場合や移行抗体の消失後は継続的なワクチンの接種をしなければ免疫ができない。
対策としてはまず犬を健康に保つことと、ワクチンを接種することが重要である。
猫パルボウイルス
猫汎白血球減少症を引き起こす。
実際には猫パルボウイルスとは言わず、猫汎白血球減少症ウイルス(Felin panleukopenia virus:FPLV)と呼称される。
別名猫ジステンパーとして知られる感染症の原因となるウイルスで、1930年前後からその存在が報告されていた。
ウイルスの性質はほぼ犬パルボウイルスと同一である。
また感染経路、症状や治療方法も犬パルボウイルスと同様である。
予防
犬パルボウイルスと同様、平時の健康管理とワクチン接種が重要であるが、猫の場合は飼い主が多頭飼いをしているケースが多いため、一匹が感染するとすべての猫に感染する可能性が極めて高いので注意が必要である。
猫のワクチンについては現在では猫伝染性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症、猫汎白血球減少症の3種混合ワクチンが主流であるが、ワクチンの種類によっては副反応をもたらすものもあり、接種にあたっては獣医師と相談の上個体に合った予防方法を選択することが重要である。
パルボウイルスB19
パルボウイルスB19は別名ヒトパルボウイルスと呼ばれる、人間にのみ感染するパルボウイルスである。ただし、骨髄中の赤血球先駆物質に侵入する能力があることから、パルボウイルス科 Parvoviridae のパルボウイルス属 Parvovirus ではなくエリスロウイルス属 Erythrovirus に分類されている。1975年にシドニー大学のイヴォン・コサート教授によって発見された。B19番というラベルのついた培養皿から発見されたのでこのように命名された。
1983年にはじめて、いわゆる第5病(伝染性紅斑、りんご病)と呼ばれる疾患の原因ウイルスとして知られるようになり、現在では慢性骨髄不全や胎児死産、胎児水腫など様々な疾患の原因として知られている。
感染
飛沫感染と母子感染の二つの経路がある。
また、最近では血漿分画製剤中に検出されたという報告もあり、血漿分画製剤の妊婦や免疫不全患者への使用にあたっては感染のリスクに対して十分な注意を払う必要がある。
年間を通じて感染するが特に春季に流行する。
日本においてはおよそ5年周期で症例数が増加するという傾向がある。
年齢にかかわらず感染するが、特に6歳から10歳くらいの子供において発症しやすく、集団感染は主に幼稚園や小学校で発生する。
感染後約一週間で発症し、多くの場合は自然に回復する。B19 IgG抗体を持つ人は基本的に免疫を持ち、感染しても発症しないと考えられているが、まれに発症する例もある。なお、成人の約50%が抗体を持つと言われている。
症状
子供と成人では症状の様態が大きく異なる。
通常7〜10日の潜伏期間の後、軽度のウイルス血症を発症し、それにともない発熱や悪寒、頭痛、倦怠感などの症状が現れる。
発症後一週間くらいすると、子供では両頬に平手打ち状または蝶翼状の赤い発疹が現れる。
また四肢外側にも発疹が現れ、成人においては発疹の形状は否定型的である。
この発疹は一週間程度で消失するが、長引いたり再発したりすることもある。発疹が現れる頃にはウイルス感染はほぼ終息しており、ウイルスの排泄もなくなる。
成人の場合、関節炎を発症し、酷い場合は1〜2日間歩行困難になることもある。
ほとんどの場合この関節炎は合併症を起こすことなく自然回復する。
軽い症状の成人においては自覚症状なしに過ぎる。
溶血性貧血症患者が感染した場合、重度の貧血発作 aplastic crisis を起こすことがある。また免疫抑制状態の患者においてはウイルス血症が長引き、重度の貧血症になったり生命の危険もあるという。
妊婦、特に妊娠初期の感染は胎児水腫を引き起こして胎児を死亡させたり、流産したりする危険がある。
ただしB19ウイルスに感染した母体から正常に生まれた新生児にB19の感染が確認された例でも、その後新生児が正常に発育している例もあり、必ずしも感染により先天異常が起こるとは限らない。
また母子感染の時期もはっきりしていない。
予防
小動物のパルボウイルスと違い、パルボウイルスB19に対するワクチンは現時点では存在しない。
関連項目
猫エイズ
猫後天性免疫不全症候群(ねここうてんせいめんえきふぜんしょうこうぐん)とは、FIV(feline immunodeficiency virus = ネコ免疫不全ウイルス)により、ネコに引き起こされる諸症状のこと。
俗にネコエイズとも言う。
FIVに遺伝的に近縁なウイルス(FIV関連ウイルス(FIV-related virus))がライオン、ピューマなどでも分離されているが、これらの野生動物がFIV関連ウイルスで発症したという明確な報告はない。
猫免疫不全ウイルス感染症の病態の一つである。
概説
感染経路・潜伏・発症
FIVウイルスの主な感染経路は、交尾・ケンカによる体液の接触感染であり、出産時の母子感染も確認されている。
HIVと同じレトロウイルス科レンチウイルス属に分類されるが、ネコおよびネコ属に特異的なウイルスであり、犬や人に感染することは無い。
感染するだけですぐに発病するわけではない。
潜伏期はさまざまであるが、飢餓、栄養失調、寒冷などの身体的・精神的ストレス、妊娠、手術などがきっかけとなって発症することが多い。
ウイルスの潜伏場は白血球のT細胞であり、採血できれば、簡易検査キットにより簡単に動物病院等で検査が可能である。
この検査キットではウイルスに対する抗体を検出する。
抗体が陽転するまで約1ヶ月かかるので、陽転するまでの間はたとえ感染していても陰性と判定される。
感染の可能性が強く示唆される場合は、1ヶ月後以降(できれば2ヶ月後以降)に再検査することが必要である。
発症後の症状はさまざまで、多く見られる症状は歯肉炎・口内炎であり、これらの症状によりFIVの感染が疑われ、発見される場合が多い。
進行すると、ダニや真菌といった日和見感染症による皮膚炎や、食欲減退、脱水、削痩といった症状を経て死にいたることがある。
しかし、これらの症状は適切な対症療法によって進行を遅らせることができる。
疫学的調査など
疫学的には、国内のFIV抗体陽性率は約12%とされているが、野良猫におけるFIVの保有率はこれよりも高いと考えられる。
2006年10月にアメリカのワシントンで開催された国際ネコレトロウイルス研究シンポジウムにおいて、フロリダ大学のグループは興味深い疫学調査結果を発表している。
それは、アメリカの獣医病院に来院し検査を受けた67,963匹のネコを調べたところ、「FIV陽性ネコの生存率(survival rate)は、FIVに陽性と診断されてから1年でおよそ約20%が死亡する(発症していないネコの安楽殺を含む)ものの、それ以降はFIV陽性ネコ群と陰性ネコ群では生存率に大きな差は見られない。」というものである。
ドイツやオーストラリアでなされた疫学調査からも、FIV陽性ネコと陰性ネコの平均寿命に有意差は見られていない。
このことからも明らかなように、FIV陽性ネコのすべてが発症するわけではない。
FIV感染により免疫が抑制されるが、HIVほどではない。
またたとえ免疫が抑制されても、FIVの感染が直接病気を引き起こすわけではなく、FIV感染による免疫抑制に伴う他の病原体の感染により発症する。
SPFネコにおける感染実験においてもFIV単独で発症した例はほとんどない。
FIVの受容体(ウイルス感染に必要な分子)は、CD134という分子であり、これは抗原刺激に伴って発現されるCD4陽性T細胞の副刺激分子の一つである。
従って様々な病原体、もしくは非病原性のウイルスや細菌などの抗原刺激によりFIVが増殖可能なCD4陽性T細胞が増加し、それに伴い体内のFIVの量も増えるものと考えられ、抗原刺激に乏しい(クリーンな)環境においてはネコの体内でのウイルス量は低いままであると考えられる。
家庭での対策
家庭では、子猫のうちにウイルス検査を行い(潜伏期があるため、最後に他のネコと接触してから数か月おいて検査すると確実)、陰性であれば不妊・去勢手術を行い他のネコとの交尾・ケンカの機会を減らすことでほぼ確実に予防できる。
関連項目
猫免疫不全ウイルス感染症
レボリューション(セラメクチン) 犬・猫用外部寄生虫駆除薬
レボリューション(セラメクチン)
犬・猫用外部寄生虫駆除薬
<注意>
レボリューション(セラメクチン)外部寄生虫駆除薬は、6週令以上の犬、8週令以上の猫に局所的に使用する無色〜黄色のものです。
チューブの内容物としては、セラメクチンが体重あたり2.7 mg/lb (6 mg/kg)で供給されます。
<指示>
レボリューションは、生後6週間あるいはそれ以上の犬、生後8週間あるいはそれ以上の猫に対して次の寄生虫の駆除に使用します。
(犬)レボリューションは、ノミの成虫を駆除、卵の孵化を1ヶ月間防ぎます。
また、猫ノミの感染を防ぎ、犬糸状虫によるハートウォーム病の防御、ミミヒゼンダニの感染のコントロールに働きます。
また、ヒゼンダニ、アメリカイヌカクダニの感染もコントロールします。
(猫)レボリューションは、ノミの成虫を駆除、卵の孵化を1ヶ月間防ぎます。
また、猫ノミの感染を防ぎ、犬糸状虫によるハートウォーム病の防御、ミミヒゼンダニの感染のコントロールに働きます。
また、猫回虫、猫の鉤虫症の感染もコントロールします。
<注意>
人への使用はできません。
子供の手の届かないところに保管して下さい。
人に対しては皮膚や目のかゆみなどを引き起こすことがあります。
じんましんやかゆみ、肌の赤みなどがレポートされていますので過敏症の方は医師などに相談の上、十分注意の上で取り扱ってください。
レボリューションにはイソプロピルアルコールとジブチルヒドロキシトルエンが含まれています。
取り扱い後は、しっかりと手を洗い、肌についた場合は石鹸を使用して洗って下さい。
もし、目に入った場合は、水でよく洗い流して下さい。
万が一、口に入った場合はすぐに医師に診てもらって下さい。
可燃性のものなので、熱や火花、火や発火の源となるもののそばには置かないで下さい。
病気や衰弱した動物、体重の軽い動物には使用しないで下さい。
使用前に犬に対しては、ハートウォームの感染の有無をテストしなくてはなりません。
獣医の判断によって、感染している犬は成虫のハートウォームを取り除くということがまずなされます。
レボリューションはミクロフィラリアの循環の数は減らすことができますが、その浄化や犬糸状虫の成虫には効果がありません。
レボリューションの推奨使用量の3倍を用いてテストした場合でも犬には過敏反応は見られませんでした。
これより過剰の適用についてはテストされていません。
<副作用>
認可前の臨床試験:691の猫のうちの1%が、適用部分に炎症を伴う、あるいは伴わずに一時的に脱毛するということが見られました。
他の徴候についてはわずか(1743の犬、猫中の0.5%以下)に見られ、吐き気、糞尿の頻度、下痢(血を伴う場合と伴わない場合)、食欲減退、不活発、だ液、多呼吸、筋肉の震えなどが報告されています。
認可後:上記の他、かゆみ、蕁麻疹、紅斑症、手足の機能障害、発熱、まれですが、死亡の報告もあります。
犬については発作もまれに報告されています。
<使用量>
体重1パウンド(6mg/kg)あたり2.7mgのセラメクチンが最小使用量です。
チューブを1つ完全に用い(あるいは体重が85パウンドを越える犬に対してはチューブ2つ)次の表に従って適用します。
猫:(1ポンドは約454g)
体重 5ポンドまで パッケージは薄紫色 1チューブ15mg 効力60(mg/mL) 使用量0.25mL
5.1-15ポンド パッケージは青色 1チューブ45mg 効力60(mg/mL) 使用量0.75mL
15ポンドを越える猫に関してはチューブの適切な組合せが必要です。
犬:
体重 5ポンドまで パッケージは薄紫色 1チューブ15mg 効力60(mg/mL) 使用量0.25mL
5.1-15ポンド パッケージは紫色 1チューブ30mg 効力120(mg/mL) 使用量0.25mL
10.1-20ポンド パッケージは茶色 1チューブ60mg 効力120(mg/mL) 使用量0.5mL
20.1-40ポンド パッケージは赤色 1チューブ120mg 効力120(mg/mL) 使用量1.0mL
40.1-85ポンド パッケージは小鴨色 1チューブ240mg 効力120(mg/mL) 使用量2.0mL
85.1-130ポンド パッケージは濃紫色 1チューブ120mg+240mg 効力120(mg/mL) 使用量3.0mL
130ポンドを越える猫に関してはチューブの適切な組合せが必要です。
生後6週間以上の犬、生後8週間以上の猫に使用することをおすすめします。
<使用>
はじめての使用の際には、犬や猫にどのように使用をするかをペットのオーナーに獣医から指導があることが望ましいです。
まず、レボリューションチューブのキャップをしっかりと押し、シールを開けます。
カチッという音がしますので、しっかりと開いたかどうかがわかります。
キャップをとり、チューブの端がきちんと開いたかどうかを確認します。
製品を使用するにあたり、動物の首の後ろの毛を分けて、皮膚が見えるようにします。チューブの端を皮膚の上におくようにして、3〜4回チューブの中身が完全に出るくらいまでしぼり出します。
チューブが空になったかを確かめて下さい。
皮膚にすりこませるようなマッサージは不要です。
アルコール分が含まれているため、傷ついた部分には使用しないで下さい。
指につかないように気をつけて下さい。
また、毛が濡れている様なときには適用しないで下さい。
シャンプーやお風呂などは、レボリューションの効果を保つため、適用後2時間以上あけてからにして下さい。
適用した部分の毛が少しかたくなったり、色がおちたり、パウダーが残ったりするようなことがたまにあります。
これらは一時的なもので安全性に問題はありません。
使い切ったチューブは捨てて下さい。
<犬や猫のノミのコントロール>
ノミの感染を防ぐために、レボリューションはノミの出やすいシーズンには1ヶ月に一度は使用して下さい。
始めるのはノミの時期の1ヶ月前です。実験研究では、ノミの98%が36時間以内に死にました。
レボリューションを用いた研究において、はじめの使用から30日以内にノミの感染の90%以上をコントロールできました。
犬、猫をレボリューションで処置すると、動物からも環境からもノミが除去されるという臨床的な改善が見られました。
もし、犬、猫がすでにのみに感染している場合、レボリューションをはじめに用いることで、ノミの成虫は死に、卵の孵化は見られないという結果が得られました。
しかし、環境にノミがいる場合、さなぎが成虫になるなどで短い期間ですが、ノミが見られるということはあります。
<犬、猫のハートウォーム>
ハートウォーム病を防ぐために、レボリューションは定期的に月に一度使用するべきです。
レボリューションは一年中用いることができ、はじめて蚊の出る時期を過ごす動物に対しては、まず1ヶ月以内に使用します。その後、蚊が出なくなった時期から1ヶ月以内に最後の適用をします。
もし、適用をしそこない、一ヶ月以上間隔をあけてしまったときには、ハートウォームの成虫の発達を最小におさえるために、再び一ヶ月の使用を始めて下さい。
他のハートウォーム防御の製品をお使いのときは、レボリューションのはじめの使用はその製品の最後の使用から1ヶ月以内に行わなくてはなりません。
セラメクチンはレボリューションの成分であり、マクロサイクリックラクトンの化合物です。これらの物質は、犬糸状虫の幼虫の感染から1ヶ月以内であれば、効果的にハートウォームの成長を防ぎます。もし、感染力のある幼虫にさらされた後2ヶ月以上経ってから使用した場合は、マクロサイクリックラクトンの効果は犬においては100%以下に減少してしまいます。
ですから、ハートウォームのある地域では、レボリューションによる処置が遅れてしまうと、ハートウォームの危険性にさらされる可能性が増えるのです。
ハートウォームにかかったかどうかの履歴が不確かな場合は、それを確かめるとよいでしょう。このような場合は、レボリューションによる処置を開始後3〜4ヶ月経ってからテストすることで、ハートウォームに関してネガティブであることを確認することが必要です。
獣医師の判断で、6ヶ月以上の猫はレボリューションの開始前にハートウォームの存在についてテストできます。すでにハートウォームの成虫に感染している猫は、安全にレボリューションを毎月与え、さらなる感染を防げるようになります。
<犬、猫のミミヒゼンダニ>
ミミヒゼンダニの処置に関しては、レボリューションを一度与えます。犬によっては2回目の使用を必要とするものもいるでしょう。
毎月、レボリューションでケアすることは、ミミヒゼンダニのさらなる感染をコントロールできることになります。
臨床研究では、耳は綺麗ではないので2回目の使用においてもその後でまだ残骸がみられる動物が多いことがわかっています。感染した耳はきれいに保つべきです。
<犬のヒゼンダニ>
レボリューションを一度使用します。
犬によっては2回目の使用を必要とするものもいるでしょう。
毎月、レボリューションでケアすることで、さらなる感染をコントロールできることになります。
ヒゼンダニは発見が難しいため、効果を評価するには臨床的結果にもとづいて考えます。ダニの感染に伴うかゆみは最初の使用から30日後の時点で約半数の犬が症状の緩和を見せ、2回目の処置から30日後ではおよそ90%の犬が症状が治まったという結果が出ています。
<犬のマダニ管理>
犬のマダニ感染を管理するために、レボリューションは1ヶ月ごとの使用をしなくてはなりません。
マダニの感染がひどい場合には、1回目の使用結果としては完全なものにはならないかもしれません。
このような場合は、前回の使用からさらに2週間後に使用し、その後は1ヶ月ごとの処置を続けて下さい。
<猫の線形動物に対する処置>
腸の鈎虫や回虫の感染に対しての処置、管理のためには、レボリューションを一回使用して下さい。
<安全性>
レボリューションは、健康な犬を用いた100以上の、また猫では15以上のテストがなされてきました。
これには妊娠や授乳をしているメス、繁殖しているオス、生後6週間、またそれ以上の子犬や生後8週間またそれ以上の子猫が用いられています。
生後5−6週間(0.3kg)と見られる猫がレボリューションの推奨使用量で死亡しました。
その子猫は筋肉の痙攣、だ液分泌、神経性の症状を見せていました。
その子猫は、体重が使用基準を満たしておらず、栄養不良で、履歴のわからないノ猫でした。
<犬>
安全性を調べる研究において、レボリューションは生後6週間の子犬に対して推奨される量を1、3、5、10倍使用したところ、副作用は見られませんでした。
経口でレボリューションが口に入ってしまった際の安全性の確認ですが、5ヶ月、8ヶ月のビーグルを用いての推奨量においては副作用は見られませんでした。セラメクチンはマクロライド系抗生物質のイベルメクチンに感受性のあるコリー犬を用いての研究で、経口投与で、2,5,10,15mg/kgで与えたところ、副作用は見られませんでした。
しかし、経口で5mg/kgで与えたところ8時間後にイベルメクチン感受性のコリーは数時間の間、失調になりました。
しかし、連続して10,15mg/kgを与えると他の副作用は見られませんでした。外部使用については、同様のコリーを用いると、1,3,5倍の推奨量の使用ではだ液分泌が見られました。また、レボリューションはハートウォームに感染した犬に推奨量を3倍使用しても副作用は見られませんでした。
<猫>
安全性を調べる研究において、レボリューションは生後6週間の子猫に対して推奨される量を1、3、5、10倍使用したところ、副作用は見られませんでした。経口でレボリューションが口に入ってしまった際の安全性の確認ですが、だ液分泌や断続的な嘔吐が起こりました。
また、レボリューションはハートウォームに感染した猫に推奨量を4倍使用しても副作用は見られませんでした。
また、レボリューションは獣医に処方されるワクチン、駆虫薬、寄生虫駆除薬、抗生物質、ステロイド、シャンプー、消毒液といったものを頻繁に使用していても安全性は保たれることが確認されています。
<保管>
30度以下で保管して下さい。
犬、猫の体重によって6つの強さで用いることができます。
子犬や子猫に対するレボリューションの使用は、3つのチューブを用いて行うことができます。
親の猫、犬用のレボリューションは3か6チューブを用います。85lbs以上の体重の犬に対しては6か12チューブを用います。
